埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「運送事業者の皆さんに『働きやすい職場環境認証制度』取得をお勧めする理由」について解説していきます。
働きやすい職場環境認証制度とは?
⑴働きやすい職場環境認証制度とは
働きやすい職場環境認証制度(以下、本認証制度)は、ドライバーの労働条件や労働環境に関して第三者機関(認証実施団体)が評価・認証し、主に求職者へ情報提供を行うための制度です。
Gマークが荷主に向けた制度であったのに対し、本認証は求職者へ向けられたものです。
⑵背景
働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が2024年から始まります。
ドライバーの長時間労働を運送事業者がの是正しようと努力しているかどうかを
客観的に評価し求職者へ安心して就職が出来るように「見える化」するものです。
⑶制度の目的
事業者の取り組みを、客観的に評価・認証し、事業者の労働条件・環境の「見える化」を促進し、求職者にアピールするとともに、事業者自体がより働きやすい労働条件・環境作りを進め、コンプライアンスの強化や運輸の安全に対する意識改革を促します。
⑷基本的な考え方
認証を取得した事業者の達成状況に応じて「一つ星」~「三つ星」までの3段階があります。
ただし「一つ星」を取得していないと「二つ星」「三つ星」を取得することはできません。
⑸認証マーク
認証を取得した事業者は認証マークを基準に従って、名刺、パンフレット、ホームページ、備品、建物、車両等に使用することが出来ます。
また、ハローワークにおける求人票にも使用できます。
認証の申請手続き
認証取得の流れ
対象事業者
⑴申請の基本要件
運送事業の事業許可日を起点とし、事業許可取得後3年以上経過していること
⑵認証単位
①事業者(法人)単位の場合
本社(運送事業の許認可がなくても必須)及び運送事業許認可の対象となっている全営業所が
対象となります。
②都道府県単位の場合
選択した都道府県内にある、本社(運送事業の許認可がなくても必須)及び運送事業許認可の
対象となっているすべての営業所が対象になります(選択した都道府県に本社がない場合は、
本社を含めない)。
本認証制度は、「求職者」に向けたものなので、個人事業主は対象外となります。
⑷申請スケジュール(一つ星)
①申請受付期間
2020年9月16日~11月15日(※二つ星は2023年2月15日まで)
②ホームページ上での認証事業者公表
2023年3月以降順次公表
認証項目・認証基準
⑴認証項目
⑵認証基準
認証項目は全部で27項目あり、以下の2種類に分類されます。
認証を取得するには全項目がそれぞれの条件を満たす必要があります。
①一つだけの項目:項目ごとにすべてを満たすこと
②複数の小項目がある項目(大くくり項目):達成できている小項目の合計点が基準点を満たすこと
多くくり項目は、全部で4項目あり、下記の基準点集を満たす必要があります。
提出書類
①審査申込書
②営業所情報
③自認書
④以下のa)~F)の書類の写し
a)就業規則(10人未満の営業所は労働基準監督署の受付印不要)
b)36協定
c)労働条件通知書
d)安全衛生委員会等関連書類
e)定期健康診断結果報告書(労働安全衛生規則第52条 様式第6号)(50人以上の営業所のみ対象)
f)事業改善報告書等(行政処分の違反点数を受けている事業者のみ対象)
審査料・登録料
働きやすい職場環境認証制度の取得をお勧めする理由
本認証制度の仕組みと手続をざっくりとみてきました。
「手続が面倒くさい」「結構費用がかかる」等との感想を持た方も多いのではないでしょうか?
しかし、それでも私が本認証をお勧めする理由を述べます。
まず、ハローワークや会社のホームページに認証マークを掲載することで、求職者であるドライバーの心象がよくなり、応募や採用に繋がり、人材確保になることです。
昨今、運送事業者のドライバー不足の深刻さは私よりも、運送事業者の皆さんが一番よくわかっていると思います。
本認証はそのドライバー不足解消の一助になる可能性があります。
また、本認証の取得は、たしかに費用は掛かりますが、中小企業でも出せない金額ではないと思います。
中小企業である運送業者はまずこのように出来ることから始めるのが良いと思います。
最後に、最もおすすめな点は、制度の浸透により、運送事業者の労働条件・環境に関する基本的な取り組みが定着し、会社の改善につながることです。
これは、Gマークや運輸安全マネジメントへの取り組みと同様の効果で、私が最も強調したい部分であります。
『働きやすい職場環境認証制度』について関心をお持ちの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!
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