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行政書士 アスナ事務所

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【物流出身の行政書士が解説】運送業:トラック中継輸送導入への課題

(この記事は、2022年12月5日に更新されました。)

埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「運送業:トラック中継輸送の導入への課題」について解説していきます。

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目次

2024年問題への一つの回答

2024年問題の一つに、労働時間の短縮化のために長距離輸送が出来なくなるというものがありました。
それに対する一つの回答が、「中継輸送」です。

中継輸送とは、一人の運転者が一つの運行工程をすべて担うのではなく、ひとつの運行工程を複数の運転者で分担する輸送方法です。

国土交通省もパンフレットを作り、中継輸送を推しています。
>>「中継輸送の実施に当たって(実施の手引き)」国土交通省

確かに実現すれば、様々な面でメリットのある中継輸送ですが、問題はないのでしょうか?
それをこれから見ていきましょう。

画像引用:「中継輸送の実施に当たって(実施の手引き)」国土交通省

中継輸送の3パターン

中継輸送の方法には3つのパターンがありま

⑴パターン1:トレーラー・トラクター方式
 中継拠点でトラクターの交換をする方式です。
 中継拠点での交換作業が短時間で終わりますが、ドライバーが二人とも牽引免許を持っているひつようがあります。
 気を付ける点は、両者のヘッドとシャーシが互換性があるかどうかです。

⑵パターン2:貨物積み替え方式
 中継拠点で貨物を積み替える方式です。
 中継拠点で荷物をトラックからトラックへ積み替える必要があるので、中間拠点での作業時間がながくなります。
 パレットやカーゴ積みならともかく、バラ積みの場合、あまり現実的な方法とは言えません。
 また、カーゴ積みの場合、両方のトラックにゲートが付いていないと積み替えが出来ない場合があります。
 最後に、積み替え作業時の貨物の破損が発生した場合の対応も事前に決めておく必要があります。

⑶パターン3:ドライバー交代方式
 中継視点でドライバーが交代する方式です。
 交代したドライバーは他の事業者のトラックを運転することになります。
 中継地点での作業時間が3つの方式の中で最も短くて済みます。

下の画像は⑶のイメージです。

問題点

⑴中継地点をどうするのか?相手方の事業者をどうやって探すのか?
 資本力のある大企業の場合、自社で中継ターミナルを作り、そこを拠点に中継輸送を実現することが出来ます。
 資本力のない中小企業の場合、中継ターミナルはどうすればいいのでしょうか?
 また、中継ターミナルで輸送を引き継いでくれる相手の事業者をどうやって探し出すのでしょうか?

⑵運用に法的な問題はないのか?
 運行管理者が点呼をする場合、自社ドライバーと交代した他社のドライバー、どちらに対し点呼をするのか?
 運行管理をどちらのトラックに対して行うのか?

⑶保険の問題はどうなのか?
 交代後に、人身事故などを起こした場合、保険は適用されるのか?

⑷荷主企業の理解が得られるのか?
 中継輸送を実施すれば、リードタイムの増加、ターミナル使用料などの費用の増加などが考えられます。
 これらについて、荷主企業の理解と同意を得られるのかが問題です。

⑴に対する回答ですが、これはなかなか難しいかもしれません。
 実現するには、2つ以上の運送事業者の間を取り持ってくれるコーディネーターが必要になってきます。
 貨物には多種多様な物があり、チルドや冷凍食品などは車種も限られてきます。
 また、生ものなどの輸送では、発注から輸送までのリードタイムが短いものもあり、受注してから相手の事業者が見つかるのかという意問題もあります。
 しかし、ここをクリアしなければ、中小零細事業者の中継輸送は実現できません。
 国交省もパンフレットなどを作り中継輸送を推していますが、国が中継ターミナルを整備したり、マッチングアプリのような相互使用を行う事業者を見つける仕組みを作るなど支援が欲しいところです。
いくつかプラットフォームを提供しているところもありますが、私がイメージしているものとは違っているという感じです。

⑵国交省の見解では、法的な問題は生じないとなっています。
 ただし、いくつかの措置が必要だとしています。

■相互使用を行う事業者間で、責任関係等について事前に協定書棟で定めておくこと
■相互使用の対象となる事業用自動車には、事業者名及び運行区間等を記載した表版を当該事業用自動車の助手席側の前面に外側から見やすいように置くこと

引用:「中継輸送の実施に当たって(実施の手引き)」国土交通省

また、運行管理はドライバーが所属している営業所が行ないます。

つまり、中継ターミナルでドライバー交代後は、他の事業者のトラックに乗った自社のドライバーに指示を出し、点呼をとります。
ここで問題となるのが、本来、契約関係にない着地への輸送となるので、荷主企業や搬入先の起業の理解と、事前に相手方と運行指示書や搬入先の情報(どのような形で搬入するのか等)をやり取りする必要があります。
現在は、ネットの普及によってZoomなど相手の顔が見える状況でのやり取りもできるので、ここはクリアできそうです。

⑶は、まだこのような運行に対応した保険はないようです。

⑷これは、荷主企業によるとしか言えません。
 物流業界全体のことを考えて、理解を示す荷主企業もあるでしょうし、とにかく安く済ませたいという荷主企業もあるでしょう。
 荷主企業を納得させる、客観的な資料を出せるかどうかが肝要だと考えます。

まとめ

中継輸送という仕組み自体は大変魅力的で、ドライバーの長時間労働という物流業界最大の問題を解決してくれる一つの案です。
しかし、実現に向けてかなりハードルが高いというのが現状です。
国土交通省の、サポートだけに期待するのではなく、物流業界が自ら同業者や国に働き掛ける必要があると思います。

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