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行政書士 アスナ事務所

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【運送業】改善基準告示:2024年改正のポイント

トラック

埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「運送業における新たな改善基準告示」について解説していきます

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目次

令和3年 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果


第10回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会資料
令和4年9月8日、厚生労働省はトラックドライバーの労働時間などの実態を調査し、それを基に、「改善基準告示」の見直しを行いました。
それでは、新たな改善基準について説明する前に、トラックドライバーの労働環境の実態を見てみましょう。
下の画像は、上のグラフは令和2年度の調査、↓のグラフは令和3年度の調査を表しています。

⑴1年の拘束時間
 3,300時間未満の事業者が7ポイントほど増えています。

画像引用:厚生労働省

⑵1ヵ月の拘束時間
 275時間未満の事業者が、10ポイント近く増えています。

画像引用:厚生労働省

⑶1日の拘束時間
 13時間未満の事業者が7ポイント増えています。

画像引用:厚生労働省

⑷連続運転時間
 3時間未満の事業者が10ポイント近く増えています。

画像引用:厚生労働省

いかがですか?
少しずつ課題をクリアしつつあるように感じられます。

それでは、日本の運送業界の未来は明るいのでしょうか?
必ずしもそうは言えないのではないかと思います。

それでは次の画像をご覧ください。
現在、わが国には62,000余りの運送事業者が存在します。
しかし、よく見てみるとその半数は車両台数20台以下の企業なのです。

また、同様に従業員数を見てみましょう。
運送事業者における中小企業者の定義は「資本金の額もしくは出資の総額3億円以下または常時使用する労働者数300人以下」なので、その定義に当てはめると実に全運送事業者のうち96%が中小事業者なのです。
仮に、従業員50名以下の運送事業者を零細企業と呼ぶのなら、これまた91%が零細事業者となります。
上の調査に回答した事業者数はおよそ8,500で全体のわずか7パーセントにすぎません。
しかも、きちんと回答している事業者はおそらく事業改善が上手くいっている事業者すなわち大企業が多いのではないでしょうか?
そうなると、上の統計の有意性も確かなものではないように思われます。
それでも、事業改革が進んでいるということが数字に表れるのはいいことだと思います。

画像引用:「日本のトラック輸送産業 現状と課題」全日本トラック協会

トラックの「改善基準告示」の見直し

画像引用:「トラックの「改善基準告示」見直しのポイント」厚生労働省

見直しのポイントは以下の3つです。

①1年の拘束時間が3,516時間から3,300時間へ(-216時間)

②1ヵ月の拘束時間が原則293時間から284時間へ(-9時間)
 1ヵ月の拘束時間が最大320時間から310時間へ(-10時)

③1日の休息時間が継続11時間を基本とし、9時間下限に

以前の改善基準でも特に中小の事業者は大変だと思ったのにさらに追い打ちをかけるような、見直しの数字です。
たしかに、上記の見直しはドライバーの健康や昨今、多発しているドライバーの疲労による重大な事故を鑑みると輸送の安全確保の面からは好ましいことは理解できます。
ですが、運送事業者の大多数を占める中小企業にとっては自助努力だけでは改善にも限界があります。
そのような事業者にとって上の改善基準は絵に描いた餅にすぎません。

以前、運送業の2024年問題というブログ記事で私は以下の問題が起こると予想しました。

①物流業者の収益が減少する。
 1日に、運べる物量が減少するので当然、売り上げも減少すると考えられます。

②ドライバーが減少する。
 ドライバーは走る距離や時間によって収入が変わるのが普通です。
 走れば走るほど収入は増えるので、長い距離を走りたがるドライバーもたくさんいます。
 上限規制によって、1日に走る距離や時間が減少すると、ドライバーの収入も減少します。
 すると、もっと収入のいい業界へ転職していく可能性が出てきます。

③物流に滞りが出る。
 上限規制によって、中継施設などを持たない中小の運送会社は長距離輸送が出来なくなり、トラック不足によって物流が滞る可能性があります。
 

これらに対する、明確な対応策はなかなか打ち出せていません。
それでも、資料を読み解きながらいくつかの対策を考えていきたいと思います。

本日はここまでにします。お疲れ様でした。

2023年、24年問題について関心をお持ちの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!

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