埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「運送業者の皆さん、運賃届出をしませんか?」について解説していきます。
2024年はすぐそこまで来ています
2024年まで、気が付けばあと1年半となりました。
運送業者の皆さん、対策はお済ですか?
あまりに問題が大きすぎてどこから手を付けていいか分からない運送業者さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
国道交通省が出している対策は、殆どが中小零細企業には厳しいものです。
ですが、このまま指をくわえて時を待っていても、何も変わらないどころか悪化するだけです。
まずは、自分たちで出来ることから始めましょう。
そのためには、経営の健全化が必須になってきます。
経営健全化のための第一歩
運送事業者さんが出来ることの一つが、「適正な運賃を算出」してそれを「陸運支局に届け出る」ことです。
どうしてこれが、24年問題への対策になるのでしょうか?
23年の時間外手当の割増と24年の改正で、トラックドライバーの人件費は約3.6%増加するという試算が出ています。
それを補填するためには運賃の値上げしか道はありません。
しかし、荷主企業のところへ行ってただ「うちも大変なので運賃を上げてもらえませんか?」といったところで、相手にしてもらえないでしょう。
荷主と交渉するためには、なぜ運賃を値上げするのか荷主を説得するための客観的な根拠が必要になります。
その根拠となるのが「標準的な運賃」なのです。
荷主との交渉の流れは以下のようになります。
①トラ協の「標準的な運賃計算シート」を使い、運賃を算出する。 ↓ ②運賃届出を行う ↓ ③荷主に交渉を申し入れる ↓ ④取引条件を見直し
やるべきことは2つ、「適正運賃の算出」と「届出」だけです。
計算方法は全日本トラック協会のホームページに、計算シートがあるのでダウンロードして使うといいでしょう。
簡易版と詳細版がありますが簡易版で十分だと思います。
⇒一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃について(全日本トラック協会)
また、適正運賃の算出をするともう一ついいことがあるんです。
それは、無駄な部分が明らかになり、経営の見直しを測ることが出来るということです。
その結果、赤字の荷主との取引を止めたり、荷待ち時間などの無駄を省くことが出来たりするんです。
そうすると、利益率の高い仕事ばかりになり、ドライバーの拘束時間は短縮しても賃金は今までと同等かそれ以上払うことが出来るようになるかもしれません。
これは、ドライバーの雇用確保にもつながります。
まとめますと、適正運賃の届出には、
①荷主への運賃交渉の有力な資料となる⇒利益の上昇
②無駄を省いて、利益率の用意運営が出来るようになる⇒効率のよい仕事、ドライバーの確保
という効果が見込めます。
算出の基本
運賃算出の基本は、距離制か時間制か、地域差、車型、車種(車格)、対象となる運送契約を基にして決まります。
⑴運賃表の内訳
距離制・時間制運賃(タリフ表) ①変動費(走行距離に比例して発生する費用) 運行費、トラックドライバー人件費(時間外労働分) ②固定費(走行距離に関係なく発生する費用) 車両費、租税公課、保険料、ドライバー人件費(所定労働時間内の賃金、福利厚生費) ③利潤 事業の持続的な経営を行い、成長していくために必要な適正な利潤 割増料・諸料金 高速道路利用料、フェリー利用料、駐車場利用料、宿泊費用、燃料サーチャージ、付帯業務料、待機時間料等
⑵各費用の説明
①変動費
(Ⅰ)運行費
(ⅰ)燃料費
(ⅱ)オイル費
(ⅲ)修理費
(ⅳ)タイヤチューブ費
(ⅴ)尿素水費
(ⅵ)ドライバー人件費(時間労働分)
上記(ⅰ)~(ⅴ)を運行三費(5項目ありますが…)と言います。
②固定費
(Ⅰ)トラック車両に直接割付できる費用
(ⅰ)車両費
(ⅱ)車両の保険料
(ⅲ)車両の税金
(ⅳ)ドライバー人件費(給与・賞与、社会保険料、退職給与引当金等)
(Ⅱ) トラック車用に直接割付できない費用
(ⅴ)一般管理費(事務所の取得・維持費用、租税公課、運行管理者・整備管理者
・役員・事務員の人件費)
(ⅵ)営業外費
(ⅶ)自己賠償費
③諸経費
(Ⅰ)高速道路利用料
(Ⅱ)フェリー利用料
(Ⅲ)駐車場利用料
(Ⅳ)宿泊費用
運行費と適正な利潤の一部は、キロ当たりの変動費で計算をし、車両費、人件費、一般管理費等、その他の費用は時間当たりの変動費で計算をし合算します。
手引書を見ると何となく出来そうな気がしますが、意外と手ごわそうな感じを受けた方も多いのではないでしょうか?
当事務所でも適正運賃届出のサポートを行っています。
「すこし難しいかな?」と感じた方は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。
運賃の届出について関心をお持ちの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!
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