埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「ドライバーの労働時間管理」について解説していきます。
拘束時間と休息期間
⑴拘束時間
始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間を言います。
労働時間には、作業時間(運転・正義・荷扱い等)と手待ち時間(荷待ち等)が含まれます。
また、時間外労働時間と休日労働時間も含まれることに注意してください。
休憩時間には仮眠時間も含みます。
「休憩」時間と「休息」期間を間違えないようにしてください。
⑵休息期間
勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間を言います。
また、運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるように努めなければなりません。
下の図でイメージしてください。
トラック運転者の労働時間等の改善のための基準
⑴時間の捉え方
1日というと通常は、午前0時から始まるものだと考えると思います。
改善基準告示では、「1日」を「始業時刻から起算して24時間ということ」と捉えます。
つまり、始業時刻が朝7時であれば、翌日の朝7時までを「1日」と捉えます。
これがここから先の、説明の基礎になるので覚えておいてください。
⑵拘束時間の限度
①1ヵ月の拘束時間 ⒈1ヵ月の拘束時間は原則として293時間が限度です。 ⒉ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6か月までは、1年間の拘束時間が3,516時間(293時間×12か月)を超えない範囲において、1ヵ月の拘束時間を320時間まで延長することが出来ます。
上の例では、①1ヵ月の拘束時間の最長が320時間(5月、10月)でクリア、②293時間越えの月が6回(5,7,10,11,12,2月)でクリア、③1年間の総拘束時間が3,516時間でクリアと違反はありません。
⓶1日の拘束時間と休息時間 ⒈1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度です。ただし、15時間を超えるのは1週間につき2回以内です。 ⒉1日の休息時間は、勤務終了後、継続8時間以上必要です。 ただし、運転者の住所地での休息時間が、それ以外の場所での休息時間より長くなるように努めるなければなりません。
⑶拘束時間・休息期間の計算方法
①1日の拘束時間の計算
上の例を見ながら計算してみましょう。
ポイントは、1日の考え方と、ダブルカウントです。
1日の拘束時間を計算するときには1日の、拘束時間全てを数え上げます。
(ⅰ)月曜日 始業8:00~終業21:00 ⇒ 13時間
ここで、1日の計算方法が関係してきます。
火曜日の6:00~8:00の部分は、月曜日の24時間にも含まれます。
よって、
火曜日 始業6:00~8:00 ⇒ 2時間
拘束時間=13時間+2時間=15時間
休息期間 修行21:00~翌6:00 = 9時間
(ⅱ)火曜日 始業6:00~終業22:00 ⇒ 16時間
休息時間 終業22:00~翌6:00 = 8時間
⓶1ヵ月の拘束時間の計算
1ヵ月の拘束時間が改善基準告示を満たしているかどうかは、1か月間の各勤務の拘束時間(始業時刻から終業時刻まで)をそのまま合算してください。
上の例では、
月曜日=13時間+火曜日=16時間+…=○○時間
この○○時間≦1ヵ月の拘束時間の限度であれば、改善基準告示を満たしています。
⑸1週間における1日の拘束時間の延長の回数
1日の拘束時間を13時間かr延長する場合、15時間を超える回数は1週間につき2回以内となります。
同時に、休息期間が9時間未満となる回数も1週間につき2回が限度となります。
(違反していない例)
拘束時間が15時間を超えている日が2日で休息期間9時間未満の日も2日なので違反していません。
(違反している例)
拘束時間が15時間越えの日が3日あり、休息が9時未満の日も3日あるので違反しています。
運送業の労務管理について関心をお持ちの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!