埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をやっている田村栄嗣です。
本日は、「株式会社と合同会社」について詳しく解説していきます。
会社法的な説明はなるべく避けるつもりでしたが、会社と個人事業主の違いは超重要なので解説することにしました。
これらの違いは一言でいうと、会社がしたことの責任をだれがとるのかということです。
それでは始めましょう!
株式会社とは
⑴会社はだれのもの?
株式会社はいったい誰のものなのでしょうか?社長でしょうか?それとも働いている従業員のものでしょうか?
株式会社の所有者は株主です。そもそも株式というのは会社の所有権を細かくしたものです(法的に正確な表現ではありませんが)。100株発行している株式会社の株式を50株持っている人は、会社の半分を所有しているということです。
上場しているような大きな会社だと、株主でもない社長や取締役が権力を持っていて、その会社の株式を持っていても所有者という感じはしませんよね。
非上場の小さな会社だと、社長が一人株主(=所有者)ということが多いです。むしろ日本の株式会社はこちらが主流です。オーナー社長というやつです。
⑵所有と経営の分離(少し難しい話)
そもそも株式会社がどのようにできたかをお話しします。
お金があるけど商才のない人がいます。お金はないけど商才がある人がいます。さあ、どうしましょう?
簡単ですね。お金持ちが商才のある人にお金を出して儲けてもらい、その儲けから分配金をもらえばいいのです。これが最も原始的な投資です。
では、商才のある人(以下商人)が事業に失敗して借金を負ったらどうしましょう?投資した人が支払うのでしょうか?お金を出したのに、商人の失敗の責任を負わされたのでは投資する人はいなくなってしまいます。そこで、会社という別の人を作ってこちらに責任を負わせ投資した人は、投資した分のお金しか責任を負わないようにしました。これが株式会社です。
⑶会社法上の社員は会社で働く人ではない?
会社法上の社員とは株主のことです。一般的な意味での社員は従業員となります。もちろん株主であり従業員でもある人もいます。ストックオプション制度で働いている会社の株を持っている従業員も多いと思います。
⑷個人事業主と比べてここがお得!
前回も説明したので簡単にいきます。
①なんといってもまず税金面がお得です。
②出資した分しか責任を負いません。実際は代表が連帯保証人になるので実質無限責任となりますが…。
③社会的な信用が大きい。
法人以外とは取引をしないという会社もあるくらいです。また、下請けをしている個人事業主が元受けに法人化を求められるケースも少なくありません。
④従業員を集めやすい。
これは、自分が雇われる側になってみればわかります。親方のさじ加減一つの個人事業主と従業員保護の会社法の縛りがある会社とどちらに就職したいですか?特に個人事業主に魅力を感じている場合以外、会社に就職したいと思います。私も個人事業主ですが、就職するならやはり会社がいいと思います。
合同会社とは
日本の会社の一形態で、2006年の改正商法で制定されました。
株式会社と同様に社員(出資者)の責任が有限であることや、様々な面で株式会社よりも運用が簡易なので、新規設立が出来なくなった有限会社の代わりに比較的小規模な会社に使われるようになりました。
小規模の会社に向いていますが、世界的大企業も…
小規模向けの有限会社の設立が廃止され、合同会社が出来たことから有限会社の代わりの小規模事業者向けのものと考えられがちですが、世界的企業のアマゾンやウォルマート、そしてグーグルも合同会社です。
合同会社の魅力は、株式会社に比べて設立が簡単で費用がかからないことだけではありません。
株式会社に比べて、組織編成や配当など自由度が大きいところや、株式会社にある制約も少ないことなども大きな魅力です。
代表社員と社員代表は違う!
合同会社の社員は出資者のことで、代表社員とは株式会社でいう代表取締役のことです。会社法上、合同会社の代表は代表取締役を名乗れません。ただ、「社長」や「CEO」は名乗れます。
世界的な企業にも合同会社が増えてきたことからだいぶ認知度も上がってきた合同会社ですが、一般的にはまだなじみが薄いところもあります。
とある合同会社の代表が名刺に「代表社員 山田太郎」としていたところ、取引相手から社員代表と誤解されて本当に代表権があるのか聞かれたことがあるという話もあります。
会社の持ち主と経営者が基本的に同じ人
合同会社は、出資して社員となると同時に経営にも参加することになります。ここが、出資してし社員となっても取締役を担って経営するわけではない株式会社との違いです。ここも後で詳しく解説する予定です。
配当の比率も自由に決められる
株式会社の場合、利益の配当は持っている株式の持ち分比率によりますが、合同会社の場合、自由に決めることが出来ます。
ここが、株式会社にない合同会社のメリットになります。
株式会社に比べてデメリットは?
いいことばかりのような合同会社ですが、もちろんデメリットもあります。
意思決定が社員の総意に委ねられているので、各社員の思惑が異なったときなどは会社の重要事項が決定できないなど、かえって機動性を損なうこともあります。
また、株式というものがないので上場することはできません。
株式会社と合同会社は個人事業主に比べてどこがメリット?
株式会社は前回も説明したので簡単にいきます。
⑴税金面がお得
⑵出資した分しか責任を負わない
実際は代表が連帯保証人になるので実質無限責任となりますが…。
⑶社会的な信用が大きい
法人以外とは取引をしないという会社もあるくらいです。また、下請けをしている個人事業主が元受けに法人化を求められるケースも少なくありません。
⑷従業員を集めやすい
これは、自分が雇われる側になってみればわかります。親方のさじ加減一つの個人事業主と従業員保護の会社法の縛りがある会社とどちらに就職したいですか?特に個人事業主に魅力を感じている場合以外、会社に就職したいと思います。私も個人事業主ですが、就職するならやはり会社がいいと思います。
株式会社と合同会社の違いのまとめ
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
出資者の名称 | 株主 | 社員 |
代表者の名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
会社の持ち主と経営者 | 別人 | 基本同じ人 |
会社の意思決定 | 株主総会 | 社員全員の同意 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
配当の比率 | 株式数に応じる | 自由に決められる |
役員の任期 | 最長10年まで | なし |
定款の認証 | 必要 | 不要 |
設立費用 | 高め | 安め |
資金調達 | 新株発行、社債発行、融資など | 社債発行、融資など |
株式上場 | 出来る | 株式がないので出来ない |
本日はここまでです。お疲れさまでした。
会社設立に関心をお持ちの方は、お気軽にご相談ください!
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