埼玉のほぼ中心東松山市で行政書士をしている田村栄嗣です。
本日は、「事業年度終了報告書(決算変更届)を提出しないことのデメリット」について解説していきます。
そもそも事業年度終了報告書とは?
事業年度終了報告書(決算変更届)とは?
建設業許可を受けている事業者が毎年県知事などに
その年の営業の報告を行うものです。
毎年決算から4か月以内に行わなければなりません。
税務署への申告とは別物です!
建設会社の社長さんに、「事業年度終了報告書(決算変更届)はもう提出しましたか?」と聞くと、
「税理士さんにやってもらったから大丈夫!」という答えが返ってくることがあります。
念のため控えを見せていただくと、税務署への決算報告書でしたということがありました。
税理士さんが税務署に対して行う申告と行政書士が県庁などに行う決算変更届は全く別物です。
間違えている事業者さんもいらっしゃるので気をつけましょう。
提出は義務ですか?
提出をしなくても特に県庁などから何か言われることはありません。
しかし、建設業許可を受けた事業者には毎年、決算変更届を提出する義務があります。
その根拠は建設業法に書いてあります。
建設業法第11条2項 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない
決算変更届を出さないことのデメリットは?
「県庁から何も言ってこないってことは、出さなくてもいいってことでしょ?」と考える事業者さんもいらっしゃるかもしれません。
ちょっと待ってください!
提出しないことで以下のデメリットがあります。
①建設業の更新申請が出来ない
1期分でも未提出があれば、更新申請できません。
さかのぼって提出することもできますが、更新期日に間に合わないことも考えれるので、
毎年必ず提出しましょう。
②業種追加が出来ない
これも、さかのぼって提出ですることで追加できるようになりますが、予定していた工事が受注できないなどチャンスロスにもつながります。
③経営事項審査を受けられない
公共工事の入札に参加しようという事業者が、法定の義務を果たさないなど恥ずかしいことです。
④取引先(元請など)の信用を失いかねない
決算変更届を提出しているかどうかは、県庁で閲覧可能です。
きちんとしている元請さんなら取引前に調べることも十分考えられます。
特に①のデメリットは大きく、経営根幹を揺るがしかねません。
また、罰則も規定されています。
建設業法第50条2号によれば、「6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。
ただし、提出期限を過ぎただけでいきなり罰則ということはなく、
事前に口頭や書面での確認等が行なわれると思います。
建設業法第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第五条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による許可申請書又は第六条第一項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者
三 第十一条第五項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなかつた者
四 第二十七条の二十四第二項若しくは第二十七条の二十六第二項の申請書又は第二十七条の二十四第三項若しくは第二十七条の二十六第三項の書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
事業年度終了報告書(決算変更届)に必要な書類(埼玉県の場合)
①事業年度終了報告書(県様式第1号) ②工事経歴書(様式第2号) ③工事金額を記載した書面(様式第3号) ④財務諸表 ⑤事業報告書(株式会社のみ) ⑥事業税納付済額証明書
気を付けていただきたいのが④の財務諸表で、税理士さんが作成したものを県庁に提出しても受け付けてもらえません。
建設業法に則ったものに変換して作成します。
おそらく、事業者さんがご自分で提出しようとしてネックになるのはこの書類だと思います。
正直、一般の方に作成は難しいように思われます。
まとめ
事業年度終了報告書を提出することの大切さと、未提出のデメリットはご理解いただけたかと思います。
しかし、事業者さんがご自分で作成して提出するのは正直むずかしいと思います。
このような場合、建設業の書類作成の専門家である行政書士を是非ご活用ください。
事業年度終了報告書(決算変更届)に関して疑問をお持ちの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!
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